エルヴィ・シレン インタビュー記事

Savon Sanomat (Savo地域の日刊紙)2012年6月19日火曜日

体の創造力を刺激

Kuopio Tanssi ja Soi:
振付師Ervi Sirenは日本人ダンサーと共に自由と軽さを追求

クオピオ
記者:Veera Jääskeläinen   翻訳:堀内都喜子

舞踏家かつ振付家のErvi Sirenは30代前半の頃、スランプに陥っていた。練習をどんなに積んでも、進歩が現れなかった。「伝統的な手法で指導し、振付をしていましたが、全く先に進んでいると感じられませんでした。何かが足りないと思っていたのですが、それが何なのかわかりませんでした」とSirenは振り返る。
スランプを通じ、Sirenはバイオエネジェティックス(生体エネルギー学)に出会い、人間の声、呼吸、そして肉体を研究し始めた。これまでとは全く違うやり方で仕事やダンスに向き合うようになった。

Sirenはいつも特定のダンサーに振付をし、彼らとの共同作業で作り上げていく。
まず、シンプルなエクササイズをする。たとえば呼吸を意識すると体と心が開放され、自分の体の感覚により意識を集中させやすくなる。手のひらがどう感じ、どう動こうとしているか考える、といったほんのわずかなことから動きが生まれることもある。こうして体の内から目指す方向とその正確さを得ることができる。
作品は、Sirenがダンサーの動きを追い、合うテーマを選び、動きの方向とスピードを導いて構成されていく。
「私の仕事のやり方には、ダンサー自身がこの方法を望み、ついてきてくれることが必要です。自分自身の肉体を深く追求することは決して簡単なことではありません。でもたとえそれを望んでいてもいなくとも、常にそこから何かが動きのプロセスにつながっているのです。」とSirenは説明する。

彼女自身には、こういった仕事のやり方がベストだった。この方法はゆっくりだが、収穫が大きいとSirenは言う。「ダンサーは遊び心を持ち、いろいろ試し、思いきることができなければなりません。肉体の創造力を刺激したいと思っています。」

Kuopio Tanssii ja Soiでは、Ervi Sirenの新しい作品「Kite」フィンランド語でLeijaが披露される。この作品は5人の日本人ダンサーとの協力で生まれた。
「本作品(Kite)では、特に自由と軽さを出したいと思っています。動きの容易さを追求してきました。」

Sirenはダンサー、垣尾優氏、川口隆夫氏、玉邑浩二氏、岩淵多喜子氏、立石裕美氏、をこう賞賛する。ダンサーたちは素直で、よく集中し、正確かつ精度の高い表現をしようとしてくれている。さらにもう少し自由さをだしていけたら、とSirenは感じている。

今回のダンサーとは昨年の秋、Sirenがワークショップの開催で初めて日本を訪問した時に出会った。ワークショップの参加者の中から、若手を2人、さらに40代前半の3人を選んだが、それぞれが異なるダンスの経験を持っている。うち1人はヨーロッパで現代・古典ダンスを、2人目はジャズ・ステップダンスを学び、3人目は格闘技のバックグラウンドをもち、4人目は照明デザイナーと共にパフォーマンス作品を創り、5人目はわずか1年半前に映画の脚本家からダンスの世界に飛び込んできた。

Sirenの興味の対象はダンサーで、それぞれの個性的なスタイルが作品をより豊かにすると考えている。
「直感で選びましたが、非常にうまくいきました」とSirenは自信を持って語る。

Kite(Leija)は年明け、6週間日本で作られた。
「日本には全く独自の文化があり、それがこの作品にいいスパイスになっています。しかし説明するのは難しいですが、フィンランドと日本には何か共通するものもあります。ダンスの中に、内の集中と存在が見ることができます。」とSirenは期待する。

Kiteは京都でも披露された。しかし、クオピオではその時とは若干違う作品が発表される。衣装は新しくなり、ダンスも少し変更が加えられた。
「ここで発表できることを非常に嬉しく思っています。作品がダンサーの手に渡ってから様々な点が進化しています。秋にはまた日本で披露します。」とSirenは語る。

Sirenは、パフォーマンスは即興ではないと考えているが、ダンサーそれぞれの考えやその瞬間の行動が大切であるとも言う。「作品はいつも同じように見えるかもしれません。決まった流れで始まり、終わりますから。しかし、ダンサーの動きは毎回少しずつ違います。」

Sirenは、ダンスの歓びを強調する。彼女は、Kiteの発表のなかでもそれが伝わることを望んでいる。
「たとえこれは仕事であっても、「楽しみ」はダンスには欠かせません。」
肉体が解放された時、体は踊り、何かを伝える。

Sirenの仕事において、共同作業をする仕事仲間は非常に重要なスタート地点であるという。作曲家のAake Otsala氏の音楽「Leijaan」(to kite)、さらに日本の藤本隆行氏による照明デザインはダンスと共に生まれた。それぞれが、少し違った見方をし、共同作業をすることで作品はまた新たなレベルに達する。
「仕事の仲間が重要です。私が自分の世界を表現しようとするのと同じく、それぞれが思いきって自分の見方を表現してくれると信じています。分析するのではなく、作業をしながら何が生まれるのか観察するのです。」

Sirenは作業の段階で観客については考慮していない。というのも、観客は個人の集まりだからである。
「自分が深く興味をもっていることをするのが一番いいと考えています。ある人は作品に何か共通点をみつけ共感しますが、ある人は違います。それは、受け入れなければなりません。」

最近は、Sirenの創造力はオフをとることで生まれる。
物事のシンプルさと自分の心の平穏を見つけることができるという。

ダンスを選んだことを後悔したことは?
「ありません」とSirenは躊躇せず答えた。
「この仕事に携わることができて、非常に幸せだと感じています」

― KITEは6月20日、21日19時 文化アリーナ44にて

振付師
Ervi Siren
1948年生まれ
舞踏家、振付家、指導者
1998-2007  ダンスアートの教授:シアターアカデミー
2010-2011  振付家:Zodiak-ニューダンスセンター
2000  Pro Finlandia受賞
2001 States Prize for Dance受賞